ペルー南部、マチュピチュの玄関口にあたる聖なる谷(ウルバンバ渓谷)で、2026年10月2日(金)の朝から山火事が続いています。火元はクスコ州ウルバンバ郡ウルバンバ区のヤナワラ集落の背後にあたる山の斜面で、クスコ州の地域緊急オペレーションセンター(COER)によると、10月3日の時点で高齢の男性1人が亡くなり、2人が第2度のやけどを負ってクスコ地域病院に入院しています(容体は安定しているとされています)。煙は集落の家々にまで入り込み、火と煙が迫った聖なる谷の一部のホテルが避難しました。火は10月3日の時点でなお制圧されておらず、州当局はペルー空軍にヘリコプターと消火用航空機の派遣を要請しています。一方で、マチュピチュ遺跡そのものへの直接の被害は確認されておらず、遺跡の閉鎖やオリャンタイタンボ〜マチュピチュ間の列車の運休は、同日時点の報道では伝えられていません。この記事では、何が起きているか、影響が出ている範囲、滞在中・渡航予定の方の確認先を1本に整理します。一次情報はCOERクスコ、ペルー文化省、鉄道各社の公式発表が正となります。
何が起きたか

経過は次のとおりです(10月3日時点・現地報道がCOERクスコの説明として伝えた内容)。
- 発生。COERクスコのミゲル・オスコ所長によると、火災は10月2日(金)の朝、ウルバンバ郡ウルバンバ区のヤナワラ集落で始まりました(El Comercio・Diario Correo 10月3日。La Repúblicaは10月1日の朝としており、発生日は報道によって異なります)。NASAの衛星による熱異常の検知でも、10月2日と3日にヤナワラ周辺の斜面で複数の火点が確認されています(NASA FIRMS)
- 人的被害。オスコ所長は10月3日、火を直接消し止めようとしていた高齢の男性1人が煙と炎に巻かれて亡くなり、2人が第2度のやけどを負ってクスコ地域病院に搬送されたと説明しました。負傷した2人の容体は安定しているとされています。亡くなった方の身元は同日時点で確認されていません(Infobae・El Comercio 10月3日)
- 延焼の条件。強い日差しと風、乾き切った植生が重なって火の回りが速く、炎の高さは3〜4mに達し、風で火が再び燃え上がる場面が続いたと伝えられています。地上の消火資源は「ほぼ使い果たした」として、COERはペルー空軍にヘリコプターとスパルタン輸送機の派遣を要請し、10月3日の時点で派遣に向けた調整が続いていました(Diario Correo・Infobae 10月3日)
- 消火体制。150人を超える消防隊員(ブリガディスタ)と約40人の義勇消防士、地元自治体・州政府・国家警察の要員が消火にあたっています(Infobae 10月3日)
- 原因。オスコ所長は、この時期に農地を広げるために行われる下草の焼き払いが火元になったとの見方を示しています。原因の最終的な特定は当局の調査によります(EFE 10月3日)
影響が出ている地域・施設・交通

10月3日時点で伝えられている影響の範囲です。閉鎖や避難の範囲は火勢と当局の判断で短い予告のまま変わります。
- ヤナワラ集落と周辺の農村共同体。火は市街地から約1kmの地点まで迫ったと報じられ、濃い煙が家々に入り込んで、子どもや高齢者の体調への影響が住民から訴えられています。山の上手の農村共同体では、消火のための進入が難しい地形が続いています(La República 10月3日)
- 聖なる谷のホテル。火と煙が迫った一部のホテルが避難しました。オスコ所長によると、火が離れたことで危険を脱したホテルがある一方、なお危険にさらされている施設もあり、当局は追加の避難に備えて各施設と連絡を取り続けています(Infobae・CR Prensa 10月3日)。宿泊予定の方は、宿に直接、受け入れの可否を確認してください
- オリャンタイタンボ駅へ向かう道路。ヤナワラは、マチュピチュ行き列車の主要な乗車駅であるオリャンタイタンボへ向かう経路にあたり、観光バスが火災現場から数百メートルの距離を通行していると、地元住民の話として報じられています(EFE 10月3日)。道路の閉鎖は同日時点で伝えられていませんが、煙による視界不良と消防車両の往来に注意が必要です
- マチュピチュ遺跡と列車。遺跡そのものへの直接の被害は確認されておらず、遺跡の閉鎖は発表されていません。火災域がマチュピチュの緩衝地帯に近い自然保護区域に迫っていることが懸念として報じられています(Infobae 10月3日)。列車については、10月2日の13時25分ごろにオリャンタイタンボ〜マチュピチュ間のパンパカワ地区でInca RailとPeruRailの車両どうしの接触事故があり、負傷者はなかったものの運行が一時停止しました。線路を管理するFerrocarril Transandino(FTSA)の許可を受けて、PeruRailは同日18時35分付の告知で運行を段階的に再開すると発表しています。この事故は山火事とは別の出来事で、山火事を理由とする運休は10月3日時点で発表されていません(PeruRail告知 10月2日)
現地に滞在中の方・ご家族が渡航中の方へ
- 火災域と避難対象の施設には近づかないでください。消防隊と警察が活動しており、風で火が戻る危険が続いています。宿泊先から避難の指示があった場合は、荷物より行動を優先し、指示された経路で移動してください
- 煙が濃い時間帯は屋外での長時間の行動を控えるのが無難です。聖なる谷は標高が高く呼吸の負担がもともと大きいため、呼吸器や心臓に持病のある方、小さなお子さん連れの方は窓を閉め、体調に変化があればクスコ市内など煙の及ばない場所へ早めに移る判断をしてください
- 緊急番号は救急106、警察105、消防116です(救急車は116でも呼べます)。クスコには観光警察があります。受診の入口や医療費の考え方は海外で体調を崩したら(ペルーの節)にまとめています
- 管轄の在外公館は在ペルー日本国大使館(リマ・電話 +51-1-219-9500)です。滞在中の方は、たびレジ(3か月未満)または在留届の登録を済ませておくと、緊急時の情報配信の経路になります。公館の所在地と連絡先は日本大使館・領事館の一覧(ペルーの節)を参照してください
- ご家族が現地に滞在中の方は、山あいで携帯電話の電波が届きにくい区間があることを踏まえ、連絡が取れない時間があっても慌てず、宿泊先や旅行会社を通じて安否を確かめてください
- 旅先で災害に遭ったときの行動の順と、大使館・保険・旅行会社の役割分担、旅程の組み替えと費用の扱いは海外で被災したときはにまとめています
これから渡航を予定している方へ
- 出発前と到着時の確認先は、COERクスコと国家防災庁(INDECI)の発表、ペルー文化省のマチュピチュ公式チケットサイトの告知、PeruRailとInca Railの運行告知です。火災の鎮圧と、閉鎖・避難の解除はこれらの発表で告知されます
- ツアーで訪れる場合——聖なる谷のホテルに泊まる行程や、ウルバンバを経由してオリャンタイタンボ駅へ向かう行程は、宿の変更や経路の組み替えが入る可能性があります。旅行会社からの連絡を待つだけでなく、出発の数日前に確定行程を確認してください
- 個人で手配している場合——聖なる谷の宿は受け入れの可否を直接確認し、列車は乗車前日に運行告知を見直してください。COERによると、この時期のクスコ周辺では農地の焼き払いに伴う火災が起きやすく、煙で視界や空気の質が落ちる日があります
- あわせて外務省海外安全ホームページのペルーのページを確認してください
参考情報
- Cusco: incendio forestal en Yanahuara deja un muerto y dos heridos(El Comercio・2026年10月3日・COERクスコ所長の説明=死者1人・負傷2人・軍への航空支援要請)
- Cusco: Incendio forestal de grandes proporciones deja un fallecido y heridos en Yanahuara(Diario Correo・2026年10月3日・10月2日朝の発生・気象条件・地上資源の枯渇)
- Incendio forestal en Cusco deja un fallecido y dos heridos: autoridades esperan apoyo aéreo tras más de 36 horas de fuego(Infobae・2026年10月3日・ホテルの避難・消火体制・炎の高さ)
- Incendio forestal en Cusco cobra una vida y deja dos heridos; autoridades gestionan apoyo aéreo(CR Prensa・2026年10月3日・聖なる谷のホテル避難)
- Un incendio que amenaza principal vía de acceso a Machu Picchu causa un muerto(EFE配信・Unitel・2026年10月3日・オリャンタイタンボ駅への経路と観光バス・原因の見方)
- Cusco en alerta por incendio forestal en el Valle Sagrado: humo cubre viviendas y afecta comunidades(La República・2026年10月3日・集落への煙の流入)
- COMUNICADO(PeruRail・2026年10月2日16時05分・パンパカワ地区での列車どうしの接触事故と運行停止)
- Reanudación de operaciones ferroviarias(PeruRail・2026年10月2日18時35分・FTSAの許可による段階的な運行再開)
- NASA FIRMS(VIIRS 熱異常の検知点・2026年10月1日〜3日・ヤナワラ周辺)
- NASA Worldview(VIIRS NOAA-20 真色画像+熱異常・2026年10月2日・聖なる谷周辺)
- マチュピチュ公式チケットサイト(ペルー文化省)
- 外務省 海外安全ホームページ ペルー 安全対策基礎データ
- たびレジ(外務省 海外旅行登録)
- 在ペルー日本国大使館(管轄:ペルー全土)