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Travel News

年に二度の朝、光が至聖所を射抜く

2026年10月22日(木)の夜明け、エジプト最南部のアブシンベル大神殿で、昇ったばかりの太陽の光が入口から奥へおよそ60m進み、突き当たりの至聖所に並ぶ4体の神像のうち3体を照らします。毎年2月22日と10月22日、年に二度の朝にしか起きない現象で、英語では「サン・フェスティバル」、日本の旅行会社の商品では「光の奇跡」「ラムセスデイ」の名で呼ばれています。

本稿は、この現象が何であり、なぜこの神殿だけで起きるのか、何時に・どこに立てば見えるのか、そして日本発ツアーと個人手配の現況を整理します。現象の仕組みは2月回も10月回も同じです。年ごとに変わる部分には日付を添えて書きました。

年に二度の朝にアブシンベルで起きること

岩窟の奥の小部屋に、4体の座像が横一列に並んでいる。壁面には浮彫りが刻まれ、像は柔らかな光に照らされている
大神殿の至聖所。左からプタハ、アメン・ラー、ラムセス2世、ラー・ホルアクティの4体。年に二度の朝、右の3体だけに光が届き、左端のプタハは闇に残る(2022年4月・通常日の照明)·Diego Delso / Wikimedia Commons·CC BY-SA 4.0

舞台は、ラムセス2世が紀元前13世紀に岩山を掘って造らせた大神殿です。正面に高さ約20mの王の座像が4体並び、その中央の入口から神殿の内部は一直線に奥へ延びて、およそ60m先の至聖所に行き着きます。至聖所の奥壁には、プタハ、アメン・ラー、神格化されたラムセス2世、ラー・ホルアクティの4体が横一列に座っています。

年に二度、2月22日と10月22日の朝、地平線から昇った太陽の光がこの軸線をまっすぐに進み、至聖所の奥壁に届きます。光はアメン・ラー、ラムセス2世、ラー・ホルアクティの3体を順に照らし、冥界の神プタハだけは一年を通じて闇に残ります。2025年10月22日は現地時間6時54分から7時16分まで、22分間の出来事でした。約4,000人が神殿に集まり、県の民俗芸能祭の音楽と踊りがこの朝を締めくくっています。

この2日が選ばれた理由は、ラムセス2世の誕生日(10月)と即位の日(2月)にあたるためだと考えられています。神殿は1960年代の移設で岩山ごと切り出されて据え直されており、長い年月の地軸の変化と合わせて、光が届く日は本来の日から1日ほど動いたとされます。

知っておきたいのは、現象が「当日だけ」ではないことです。太陽の昇る位置は一日で大きく変わらないため、前後の数日にも光は至聖所へ届きます。ただし奥壁を照らす範囲は狭くなり、旅行会社の案内では前後の日は「2体ほど」とされています。3体そろった姿にこだわるなら当日、混雑を避けて静かに見たいなら前後の日、という選び方ができます。

なぜアブシンベルなのか

砂岩の崖に刻まれた大神殿の正面。4体の巨大な座像が並び、中央の入口の前に観光客が小さく見える
大神殿の正面。高さ約20mのラムセス2世の座像4体の中央に入口があり、その奥およそ60mに至聖所がある(2023年9月)·Mustang Joe / Wikimedia Commons·CC0

光の道は偶然ではありません。大神殿は太陽神ラー・ホルアクティをはじめとする神々と、神となった王自身に捧げられた聖域で、入口の真上にも太陽神の像が据えられています。入口から至聖所までを一直線に掘り抜き、その軸線を年に二度の日の出の方角へ合わせる。建築と天文と王権の顕示が、ひとつの現象に束ねられた設計です。

もうひとつの理由は、この神殿が「動いた」ことにあります。1960年代、アスワン・ハイダムの建設で神殿がナセル湖に沈むことになり、ユネスコの国際救済事業として1964年から1968年にかけて岩山ごとブロックに切り分け、元の位置より高い場所へ移して組み直しました。そのとき軸線の向きも再現されたため、いまも年に二度、光は至聖所へ届きます。3000年前の設計を20世紀の技術が引き継いだ、という意味でも稀有な場所です。遺跡は1979年、「アブシンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群」として世界遺産に登録されています。

アブシンベルという場所そのもの——巨像の造形、ネフェルタリの小神殿、ナセル湖の岸辺——については、個別ガイドにまとめています。

いつ・どこで見るか — 時刻・開門・入場料

日本発ツアーと手配の現況 — 当日組と前後日組がある

アブシンベルの「光の奇跡」は日本の旅行会社にとって定番の企画で、10月回・2月回とも、当日に合わせた出発日を設けた添乗員同行ツアーが例年発売されます。2026年10月回は本稿時点で、10月22日当日に神殿へ入る行程のものが、ユーラシア旅行社(10月19日出発・10日間)と阪急交通社(福岡発・10月16日出発・11日間)で発売中です。ユーラシア旅行社の出発日は催行が決まっています。

もうひとつの型が「前後日組」です。当日は世界中からの観光客で大混雑するため、あえて日をずらして部分的な光を見せる行程で、クラブツーリズムの10月16日・18日出発(前後の日に2体へ光が当たる特別出発日)がこれにあたります。当日の混雑を避けつつ現象の一端を見たい方には、現実的な選択です。

2027年2月回もすでに発売が始まっています。阪急交通社は2月19日から21日出発の10日間(成田発)と福岡発2月19日出発の11日間を、ワールド航空サービスは2月15日出発の15日間を、HISは2月21日出発で当日の翌日に神殿を訪ねる6日間を設定しています。10月回に間に合わない方は、こちらを候補にしてください。

個人手配で向かうなら、要はアブシンベルに前泊することです。アスワンからは国内線で空路を取るか、陸路で3時間半ほど南下しますが、当日の朝にアスワンを発つと開門の列に間に合いません。アブシンベルの町は小さく、宿の数は限られています。この前後の夜は早くから埋まるため、宿の確保を最優先に考えてください。入場券は公式サイトでの事前購入が確実です。

なお、アブシンベルを含むエジプト方面のツアーを扱う日本の旅行会社の顔ぶれと価格帯の傾向はアブシンベル神殿のツアー比較にまとめています。光の奇跡の日に合わせた商品の比較ではありませんが、各社の傾向を知る入口になるはずです。

阪急交通社

  • (2026年10月16日出発)エジプトナイル川クルーズとアブ・シンベル神殿光の奇跡11日間 599,800円10/16発・福岡発・添乗員同行・10/22当日に観賞 商品情報を見る
  • (2026年10月16日出発)<ビジネスクラス利用>エジプトナイル川クルーズとアブ・シンベル神殿光の奇跡11日間 1,399,800円10/16発・福岡発・添乗員同行・10/22当日に観賞 商品情報を見る

クラブツーリズム

  • エジプトエアー/成田発着/古代文明の謎を解く エジプト浪漫 時空の旅8日間 419,000〜964,000円10/16・10/18発が特別出発日(前後日に2神体へ朝日)・添乗員同行 商品情報を見る

ユーラシア旅行社

  • アブシンベル『光の奇跡』とエジプト・ナイル河クルーズ 10日間 698,000円10/19発・東京発・添乗員同行・10/22当日に観賞・催行決定 商品情報を見る

掲載商品は2026年9月15日時点の各社サイト掲載分です。価格・空席・出発日は各社サイトで確認してください。

渡航を考えている方へ — 計画の注意

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参考情報